マンションは大切な資産だから、「なるべく高く売りたい」というのは、売主のごく普通な気持ちです。
しかし、その善良な売主につけこむのが悪徳不動産会社。
相場より極端に高い査定額で売主の歓心を得て、独占交渉権である「専任媒介」を取得してから、値下げさせるのが不動産会社の常套手段です。
マンションの一括査定では、査定額が相場よりも高くなりがちなメカニズムを紹介します。
競合するから高くなる査定額
マンション売却をする前に、まず売主がするのが一括査定。マンションの売却価格相場を知り、売り出してもらう不動産会社を選別する、大切なステップです。
不動産会社にとっては、売主と直接コンタクトが取れる、最初で最後の機会になりかねません。専任に選ばれたい不動産会社が、売主の歓心を引くためにすることは、高い査定額を提示すること。
これから売却するマンションは、あなたの大切な資産です。
大切な資産を高く査定してもらえば、誰だって悪い気はしません。
一括査定では普通、3~6社の不動産会社が競合。それぞれ査定額を提示・売却プランを売主に示します。
販売力に自信のある不動産会社は、自慢の販売力を誇示します。
他社よりも高い査定額を提示することで売主のハートを鷲掴みにしようと考えるのです。
まずは媒介取得に専念する不動産会社
最初に売却査定で価格をつり上げたら、あとで売るときに自分の首を絞めるのでは?
たしかに、査定額通りにマンションが売れなかったら、売主から非難されるのは不動産会社。営業個人としては避けたい場面かもしれません。しかし、企業としてみた場合、たとえ後で苦しんだとしても、仕事がないよりマシです。
専任媒介が取れない不動産会社には、二度と売主と話すチャンスは訪れません。専任媒介を取得した不動産会社の一人勝ちで。その後、売主に交渉する権利があるのは、専任媒介の会社のみです。
だから、不動産会社の営業は、売主が喜ぶセリフを連発します。
売主を喜ばせ、専任媒介を締結するのは、不動産営業のスキルのひとつなのです。
媒介をとったあとで値下げ提案
相場より、明らかに高い売却価格では長期に渡って売れないことが予想されます。
高い査定額を提示した不動産会社の言いなりに専任媒介を締結し、高い販売価格で売り出したものの、内覧希望が一向になくて、売主が後悔し始めるのが1・2ヶ月後。
焦りはじめた売主が「なんとか売る方法はないのか?」と営業に問い合わせると、値下げの提案がされます。
100万円値下げしても売れるとは限りません。
さらに100万円、あと50万円と、ギリギリの販売価格まで値下げを要求されるのは日常茶飯事です。
そしてその頃には、他の不動産会社が提示していた査定額を下回っている場合が多いのですが、売主としてもあとに引けなくなっています。売れるまで値下げを繰り返すことになりかねません。
マンション売却 | 売却価格 | 売却期間 | 対応と手続き |
得意な業者 | 高く売れる | 短い | スムーズ |
不得意な業者 | 安くしか売れない | 長い | トラブル |
まとめ
- 不動産会社は専任媒介契約を切望
- 他社と競合する一括査定では高い査定額が提示
だからと言って、一括査定が悪いのではありません。査定額が高いという理由だけで不動産会社を選んでしまうことが悪いのです。
一括査定は、多くの不動産会社と知り合い、マンションの売却相場を知る良いチャンスです。
査定額の根拠を尋ね、販売戦略の強みなどを聞き出すことができれば有意義でしょう。
自信のない不動産会社ほど、高値を付ける傾向にあります。十分に注意して下さい。